炎立つ 大千龝楽

8月9日、東京・Bunkamuraシアターコクーンから始まり、愛知、広島、兵庫と回ってきたこの舞台は、とうとうご当地、岩手まで無事に辿り着き、9月21日に大千龝楽を迎えた。稽古から約3ヶ月。5ヶ所・40公演という長旅、お疲れ様でした。

 

健くんにとっては初めて尽くしの舞台であり、ドラマ・手話・音楽番組と掛け持ちでありながら(誰より座長が働きすぎな訳だけども)、無事にイエヒラを演じ切って。私は当初、20年近くこの世界でキャリアがある人が、35歳にして未だ未経験尽くしの場に、名優の方々との共演に挑んでいく姿が心底かっこいいと思った。現状維持、継続も確かにすごいことで、またキャリアが長いからといって足踏みするようなアイドルはわたしはすきにはならないと思うけれど、年齢やキャリアって積み重なるほど新しい挑戦がしにくくなることもありそうで。そういった意味で、今回初めての経験に挑んでいった健くんを応援したいって思った。

 

…のだけれども、何より、公演が進むにつれもっとイエヒラが身体に染み込んでいったみたいに、絶えず変化を見せてくれたことが、何より彼がこの夏、全身全霊で向き合ってきた何よりの証なのだと思う。東京公演中は恐らく忙しさMAXで体調も心配されてはいたけれど、声はどんどん通るようになるし、巡業始まってからの満喫ぶりにちょっと安心。

 

毎回のカーテンコールは、指の先まで伸ばした手を腰〜もも辺りに置いて、上の席まで見上げたあとに、深々とお辞儀して。それが終わったら早々と舞台袖に戻る。座長や周りの方々の様子を見ながら、あくまで自分の立ち位置を考えて振舞っていた。それが清々しくて、格好良くて。

 

大千龝楽で初めて(わたしは)笑った顔、役ではない顔が見られて、座長の御好意で挨拶も聞けて。初めに、愛之助さんにぐいっと前に出されたときは「え、ちょっと!w」みたいな顔して健くんだ〜ってなったけれど、話す内容はまっすぐで簡潔で。「この舞台はただの昔話ではなく、僕たちに多くの気付きを与えてくれるものだと思います」(※完全にニュアンス)この言葉も、佇まいも、この舞台から得たもののひとつなんだなあと。

 

この舞台を通じて、さらにさらに大きくなって、輝きを増す健くんが見られることを楽しみにしています。本当にお疲れ様でした。そしてありがとう。